空手を継続するにあたって③
空手・柔道・剣道・合気道…etc、習い事を継続する事はとても大変なことです。
たとえば、
・転勤・転校等の環境的な要因
・会費・遠征費等の経済的要因
・向上心・意欲等の精神的要因
すべての要因が、微妙にバランスを取り合いながら、各ご家庭において習い事をサポートすることが可能になるのだと思います。
以前、道場に通っていたIくんの事例をご紹介しましょう。
彼は、幼稚園のころから空手を始めて、少しずつ芽が出てきた選手。
いわば、努力家タイプの選手でした。
「努力に優る天才なし」
武道の世界は、努力を人一倍すれば、その結果が必ず得られる。
単純な世界です。
しかし、その結果が、彼を有頂天にしてしまいました。
中学入学と同時にサッカー部に入部、空手の稽古に参加するのは、最後の10~20分くらい。
だんだんと空手の稽古もおろそかになってゆきました。
そして、ある日、「空手を辞めます」。
理由は、
・サッカーが忙しいから。
・勉強が忙しいから。
・空手で十分な稽古ができないからetc…。
というものでした。
結論として、
・部活動との掛け持ちは、よほどの強い精神力と責任感がなくては達成できないということ。
・指導者としての経験上、勉強を理由に何事かを諦めた選手に、成功した人はいません。その空いた時間は、勉強に費やされることなく、遊びや余暇に費やされるのが常です。
・自分のスケジュール管理のスキルを持たないレベルの人間に、通常90分~120分の稽古をたった10分~20分で、こなせるわけがありません。
何でもかんでも手を出す。
自分の能力を過信する。
とても恐ろしいことです。
前途ある子供たちに多くの経験をしてもらいたい、保護者の皆さんの願いであると考えます。
しかし、好むと好まざるとに関わらず、子供たちにオーバーワークを課してしまう事は、気を付けなければならないことかもしれません。
空手のある達人は言いました。「人はおごれば、その身を滅ぼす」