宗家インタビュー②「百年先を思いては人を育てる」
月刊誌『致知』(致知出版社、2016年8月号)に、錬心舘総本山宗家 保 巖 先生のインタビュー記事「百年先を思いては人を育てる」が掲載されておりましたので、ご紹介させていただきます。
≪人間形成の空手道場として、世界23ケ国に広がっている少林寺流空手道錬心舘。
その起源はいまから61年前、鹿児島のたった6坪の道場に3名の高校生を迎えてのスタートだった。
父親である開祖の思いを受け継ぎ、今日の発展を築いた第二代宗家保巖氏に、いかにして一道を切り拓いてきたかについて伺った。≫
■60年目の節目を迎え、初心に立ち戻る
記者:ああ、原点に帰ると。
宗家:そうですね。「稽古とは一より習い十を知り、十より帰るもとのその一」というように、初心を忘れてはならない。
誰でも最初はすごく純粋な気持ちで取り掛かると思います。
しかし、10年、20年と経った時、その純粋な気持ちを持続、またはより情熱をもっていることは簡単ではありません。
錬心舘も60年経って、以前からすれば大河になった分、流れに淀みがでないとも限らない。
初心の思い、純粋さ、情熱、そういったものに立ち戻るよい節目の年にしたいと強く考えました。
そういう意味で、錬心舘では毎年その年のテーマを漢字一字に込めておりますが、今年のテーマは「礎」にしました。
私はこれまで世界に空手を広げることを意識的にやってまいりました。
2000年に父が亡くなり、宗家を襲名した時はまだ10ケ国足らずでしたが、それ以降、海外普及を我が使命として、とりわけ力を入れて取り組んでまいりました。
記者:ここ16年で国際的になりましたね。
宗家:はい。
そしていまは、世界に広げてゆくことと同時に、改めて大事なことがあると感じております。
それは目の前のひとりひとりのお弟子さんとの絆を大事にして、組織を100年後も存続させるための礎をしっかりと築いていくことです。
実は60周年の記念式典の時に、最初に入門した3名のうちの1名のお弟子さんが出席してくださいました。
その方は60年前とまったく変わらない純粋な気持ちをもっておられました。
そういうお弟子さんをこれからも多く輩出してゆくために、高みを目指し、より足腰を強く鍛えてゆきたいと思います。
(続く)