宗家インタビュー③「百年先を思いては人を育てる」
月刊誌『致知』(致知出版社、2016年8月号)に、錬心舘総本山宗家 保 巖 先生のインタビュー記事「百年先を思いては人を育てる」が掲載されておりましたので、ご紹介させていただきます。
≪人間形成の空手道場として、世界23ケ国に広がっている少林寺流空手道錬心舘。
その起源はいまから61年前、鹿児島のたった6坪の道場に3名の高校生を迎えてのスタートだった。
父親である開祖の思いを受け継ぎ、今日の発展を築いた第二代宗家保巖氏に、いかにして一道を切り拓いてきたかについて伺った。≫
■武道で人づくりをし、荒廃した人心を再興したい
記者:お父様はどのような思いで錬心舘を作られたのでしょうか?
宗家:父は子供の頃、隣家に住む漁師より空手の手解きを受けて、17歳の時に台湾に渡り、柔道や拳法を習得しました。
その後、26歳で敗戦を迎えました。
父は国を思う心が人一倍あったので、焦土に立ってこれから自分は何を為すか、この国をどう復興してゆくかと考えた時に、武道で人づくりをし、荒廃した人心を再興したい。
そう志を立てたのです。
記者:武道を通じて人づくりをする。
宗家:ですから、父は「心を錬る」舘にしたいという思いを込めて、道場名を錬心舘にしました。
技術だけを教えるのではなく、泰然自若たる人格を磨いてゆくのだと。
「より健全な社会の建設は、より健全な個の形成より始まる」
この理念の下、スポーツの絶対的条件である安全性と勝敗の明確性を兼ね備えた、人命尊重に立脚した防具付空手道の普及に邁進しました。
お家芸である螺旋手刀打ち、後ろ回し蹴り、二段回転蹴り、飛び蹴りなどの技は防ぐことのできない最高技術として日本空手界に一大旋風を巻き起こしました。
(続く)