宗家センセイ教えてクダサイ②
錬心舘プエルトリコ本部長、アダルベルト・ロザリオ教士が来日中に宗家に質問した時のエピソード②
【ロザリオ教士の質問】
Q:心の修行のことは分かりますが、正しい型を学ぼうと思えば、映像などで確認できたら便利だと思うのですが?
宗家:仮に、型の手順や動作の意味などを解説した映像があったとしたらどうなるかを想像してみてください。
お弟子さんは疑問に思ったことがあったとしても、先生に尋ねるよりも映像をみて解決しようとするのではないでしょうか?
身体も動かさず、わかったつもりになって頭だけで自己完結するかもしれません。
やがて、練習も疎かになり向上心もなくなってゆきます。
その映像が先生になってしまったら、師弟の絆どころではなくなってしまいますね。
直接、師から教わるということは、映像や書物では伝わらないものがたくさんあります。
弟子は、師の息遣いや気の錬り方などを自然と肌で感じて吸収してゆきます。
また、弟子の成長のために真剣に教える姿に信頼を覚え、そこから絆が深まっていくわけです。
正しい型の継承を言うのであれば、常に師に教えを乞う事です。
指導者になったとしても、素直な気持ちで自分の師匠に学ぶことが必要です。
指導者が学ぶことを怠り、「自分が正しい」と驕った瞬間から、
お弟子さんは錬心舘空手道の本質を教わる機会を失ってしまいます。
空手道は、生涯をかけて道を究めるものであり、己を磨く人格陶冶の道であります。
そういう私も、まだ学びの途中なのです。